Teacher Aide Diary

Teacher Aideのメンバーが活動のようす、思いを綴ります。

『Paraply』先行配信記事:学生は先生になって、今何を思うのか

この記事は、現在制作を進めているフリーペーパー『Paraply』に先駆けて、そのコーナーの1つの先行配信の記事となっています。

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このコーナーでは、昨年の春から先生になった現職教員が、本音をぶっちゃけて、トークしたものです。学生団体Teacher Aideの一員として学校に問題意識を抱いていたメンバーは、実際に学校で働き、何を思っているのでしょうか。

 

 

【メンバー】

「がんも」 (公立小学校担任)

「ともとも」 (公立小学校特別支援学級)

「まろ」 (公立小学校特別支援学級)

【聞き手】

「まつの」 (放課後等デイサービス職員、Teacher Aide奈良支部長)

 

※クロストークは2021年3月末に収録しました。

  • 教育現場の困りごと

 ①人手不足「産休、忌引きで破綻する」

がんも                   
はっきりいえるのは、人が足りてない。大学生が学校現場に手助けに来てくれることすらありがたい状況

ともとも               
学生サポーターやったっけ、めちゃくちゃありがたい。

がんも        
なんなら教育実習生ですらありがたい。

ともとも               
たしかに。ヤバいよね、この状況。

がんも                   
だから、気軽にもちろん休んでいいとはこれっぽっちも思ってないけど、休まなあかん時に気兼ねせずに休めるだけの人材は配置して欲しいなって思う。それは産休もそうやろうし、忌引きでも、ほかの先生方が大きな負担を強いられずに、気兼ねなく、休めるようになってほしいなぁ、っていうのが正直なところかな。業務の改善ではこっちの技術的なところでもあるやろうから、考えていかなあかんところではあるけど、人が休んだ段階で破綻する学校はアカン。全員の善意で回していても、回り切らん、と思います!

ともとも               
アカンな。

まろ                       
うーん(深く頷く)。

まつの                   
(がんもに)さっそく聞くけど、例えば、事務員が『10人になります』とかやったら業務改善になると思う?

がんも                   
『事務員10人』は業務改善にならん。教員がほしい。教員ないしはそれに類する、指導のできる人がほしい、かな。いうたら倍は欲しいかなぁっていうのは正直なところ

 

 ②研修のない校務分掌 「結局誰にも聞けない」

 

まつの                   
なるほど、まろはどんな感じ?

まろ                     
自分が困ったことは、「一年目臨任」なんですよ。教育をなんにも知らないまますべてが始まりましたよね。教育係っていうか、僕のこと知ってくれてる先生がサポートはしてくれましたけど…。

特に、校務分掌とかって一回持たないと、わかんないじゃないですか。僕は今年給食食育の担当だったんですけど、先生の全員が知っているかっていわれたら、やっぱり知らない先生がほとんどなんですよね。例えば、他の市町村から来たら、給食センターの管轄が違うから勝手がわからんとか…。というので結局誰にも聞けない。そんな中、手探りでやっていくっていうのは…。

合っているのか間違っているのかも分からないまま仕事をするっていうのはすっごいストレスでしたね。

まろ                       
あとは、情報関係の設備がもうとにかく何もかもが古すぎるな、っていう。

がんも                   
確かに古い!それはもう、それはもう!

まろ                       
僕、パソコンwindows7なんですよね公務用パソコン。ガバガバじゃないですか。ウイルスなんか。

がんも                   
アカンよ。(笑)

まろ                       
よく使ってるなと思いますし。でも、そういうのも含め、じゃあプログラミング教育をやってくださいとかchromebook1人1台配布して、本当にそれで終わりだったんですよ。これをどう使うかみたいな話には教育委員会から何もなくて。僕らにも降りてこなくて。『あ、本当に何も研修ないんだ』って思って。ていうのが改めて実感したのと、設備が何もかもが古すぎる。それは結構困りましたね。

がんも                   
俺の教室だって雨漏りしてたもん。古すぎて。天井に黒いカビ生えてんねん。

 

③「文科省が出してるのに、なぜか学校ではやらない」

 

まろ                       
あと困ったのは、教師のバトンとかで文科省めっちゃ叩かれてますけど、わりとこのコロナ禍の間、文科省が言ったことをしっかり検討したのかなっていうのは個人的な感想です。例えば消毒しなくていいよとか、なんかわりと(文科省は)打ち出したのかなと思ったんですけど。

がんも                   
なんなら2年早めてたもんね、文科省(GIGAスクール構想について)。

まろ                       
なぜか学校に降りてくる頃にはいろんなことがねじ曲がった状態で降りてきているような気がするんですよね。例えば、業務のICT化してください。欠席届はGoogleフォームでやりましょうみたいな話も、図解までして文科省が出しているのに、なぜか学校ではやらない

がんも         
やらないねぇ。

まろ                       
提案すらさせてくれなかったんですよね。しようと思って、他の先生に話をすると、管理職2人以外はみんな賛成なんですけど、やっぱ管理職はもう『自分がわからない話』になってくると、ゴーサインが出せないんで。だから止められます。一応Googleフォームの欠席届は作ったんですけどね。

(文科省が)やらないでいいよって言われている消毒はやって、と言われて。なんなんだろうこれは。どこでこの事実というか、捻じ曲がりが起こってるんだろうと思って。それは市町村なのか県なのか校長による裁量なのか、ちょっとまだわかんないですけど、見えない。まあ言ってることとやってることが結構逆なことがあるなっていう。それは結構現場では困りますね。知らない先生がほとんどなんで。

文科省がやれって言うことはやらなくて、やらんで良いってことはやらせて。なんなんだろう。この1年間は疑問でしたね。自分の知り合いが勤める学校は結構どこの学校もそうらしくて。

ともとも               
なんか、あるよなそれも。

がんも                   
捻じ曲がっているのは良くあると思う。その先でこっち、現場の教員がどれだけ情報を持っていて、管理職に対してそれを理由として使って説得できるかどうか。うちは結構その説得に応じてくれる管理職やったから。『消毒こうなってますよね。じゃあしなくていいですよね。』って言うと『あぁそうだね』って言ってくれたし、授業とかでも、『自治体のガイドラインがここまでになってるからこういう運動ができますよね』って言うと『あ、じゃあしましょうか』と言って結構OK出してくれる上司だったから。まろの話を聞いてたらマシやったんやなぁと思う。管理職がいろんな話を理解してくれたし、むしろ教頭のほうがGIGAスクール(構想を)勧めてくれてるから。

ともとも               
私も、学校(で提案)したけど、絶対『教育委員会に聞くわ』って先に言われる。何か提案しても。

がんも                 
それか、『教育委員会に確認するわ』って言われる。

まろ                       
たぶんしてくれないですよね。

がんも                   
そうそう、せーへんせーへん。

ともとも               
少しは(確認)してるんかな?

まろ                       
どうせ流される。

がんも                   
(たとえOKが出ても)『隣の学校と足並み揃えなあかん』とかいわれて。

ともとも               
そうそう。そっちはしてないからせーへんとか。

まろ                       
どっかの学校がやったらみんな足並み揃えるんですよ。

ともとも               
あー、たしかに。

まろ                       
ファーストペンギン(最初にリスクに飛び込むような人)がいないから結局変わらんっていう。『来年、運動会午前だけにしましょうよ』っていう提案を出しててコロナがなくなったとしても、ほかにそんなことをする学校なんかないから結局午前で終わることはないですよね。

がんも                 
今年が(運動会)午前だけで終われたから、じゃあ午前だけにしませんかっていう提案を出したい。教育委員会の部会としても『ええ、そうします』ってなって『うちの学校では一応このスタンスで行きますね』っていうことになっても、隣の学校が、いや午前だけじゃなくて1日で、って決まったらそっちに合わせなしゃーない。別に運動会って学校裁量なんやから、違っていいやんと思うけど。

ともとも               
ホンマそれ。

がんも                   
地域の人からしたらそうじゃないっていう。温度差がある。

ともとも               
なんなんやろな、あれ。

まつの                
公立校ならではなのかもしれんね。裁量が少なめっていうのは。

がんも                   
ならでは。裁量権はあるはずやのに少ない

まろ                       
いいと思うんですけどね。みんな勝手にやれば。

ともとも               
あんまり管理職も設定権がないからだと思うけど。自分らも。好き勝手出来ないんだろうな。知らんけど。

まつの                   
誰も責任を取りたがらんっていうところがあるよね。

ともとも               
ああそれはある。そうそう。

まつの                   
だれも尻拭いはしたくない。

 

④管理職の人事異動「なんでもう1年おらせてくれへんかったんや」

 

がんも                   
うちの校長はけっこう改革派の人で、新しいことをどんどん取り入れたいっていう人やったんやけど、たぶんそれを上(自治体)は、2年ごとに変えてはったんよ。『3年やったらまだ出来る事あったのに』って言うてる。『1年目はとりあえず学校の様子を知って。2年目でこういうこと出来るなっていうことを考えて、3年目で動き出したいのに、それができひんかった』って言って、すごい嘆いて今年退職を迎えはって。『何でもう1年おらせてくれへんかったんや』って結構言ってはった。

ともとも               
うわぁ悲しい。

がんも                   
だから変えようという意思がある人は上から圧力がかかるんかもしれへん。どうか分からへんけど。

まろ                       
あと、管理職になる年の人たちって結構遅めじゃないですか。ほかの企業というかわかんないですけど、民間企業のそういう人(部長)たちよりは絶対に教頭校長って年が結構上だと思うんですよね。55歳とか。早くても。数年、転々としたらもうあと1、2年だからもういっかーってなんのかなと思って。

がんも                   
熱意を持ってる人じゃないとね。

まろ                     
自分たちの校長は来年定年で、『来年がんばろう』『来年ちゃんと提案できるようがんばろう』みたいな感じで言われました。歳も関係あるのかな。55,6歳だったら、あと5年ぐらい静かにしてれば退職金もらえるし、みたいな。

あと、僕らの県の初任者の指導教員には退職した人がいるんですよね。そういうポジションを得られるのは、何もしない人なのかな、と思います。偏見かもしれないけれども。

ともとも               
あー、再任用。まあ、ある程度ちゃんと経験を積んでるしな~って感じやんな。

まろ                       
あと、困りごとに同期もいないってことがあって、一番近い年の人が10個上なんですよね 。結構きつくて…。初任者って絶対各校に1人とかなんですよね僕らは。絶対ばらけるんで。同期はその研修とかでしか会わないみたいな感じらしいんですけど初任者は。

僕はgoogleフォームの欠席届を作った時に、その隣の学校に働いている大学の同期に、それちょうだいみたいなこと言われたんですデータを。だからTeacher Aideでそういうの情報共有とは別でこういうのも共有できないのかなと思って。アイディアとかデータとか。

ともとも               
それほしい~

まろ                       
まあできないのかな~っていうのは、今その情報共有という言葉を聞いたときに思い浮かびました。それか、誰か作ってくれる大学生がいたらうれしいですよね。

 

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冒頭でも書いたように、現在クラウドファンディングに挑戦しています!リターンには、この先行配信記事のフルバージョンが掲載されている本誌『Paraply』も含まれています。ぜひご支援いただけたら嬉しいです。

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本編では、「職員室にカーストってあるの?」「実際に定時で帰ることはできるの?」など、気になるテーマを扱っています。また、フリーペーパーに収まりきらなかった番外編やミニコーナーを今後もTeacher Aide Dairyで発信していきます。そちらも併せてお楽しみに!